蜜味センチメンタル
スプーンを手に取り、皿の端にあしらわれた飴細工をそっとすくう。
口に含んだ瞬間、ぱりりとした食感と上品な甘さが広がり、胸の中の幸福感と溶け合っていった。
──甘い……
ケーキも、隣から注がれる愛情も、なにもかもが甘くて。体中がその甘さに染まっていく。
互いに微笑み合いながら、デザートを楽しむ。そうして皿が空になる頃には、デザートの甘さよりも胸の奥に広がる想いの方がずっと濃くなっていた。
やがて食後のコーヒーが運ばれ、短い沈黙の中で二人はただ視線を交わす。言葉がなくても、確かな想いが伝わってくるようだった。
「あの、羅華さん」
そしてふと、つぶやくように那色が声をかけてくる。
「このあと……もう一か所、行きたい場所があるんです」
カップを置いた那色が、ふっと真剣な声色に変える。
「一緒に来てくれますか?」
差し出された手に、自然と指先が伸びる。その温もりを握り返した瞬間、窓の外で煌めくイルミネーションよりも胸の中の灯りが強く輝いていた。
店を出ると、冷たい夜気がふわりと頬を撫でた。煌びやかなイルミネーションを背に、呼び止めたタクシーに並んで乗り込む。
車窓から流れる街の光は、さっきまでの食事の余韻と重なって胸を温めていた。静かな車内で寄り添うように座ると、言葉を交わさなくても不思議と安心できる。