蜜味センチメンタル
「…本当に何もしない?誓える?」
「そこは信頼して欲しいなあ。昨日だってその気になってたのを鎮めるの、大変だったんですよ」
「……」
「夜中だったからまだよかったけど……昼間だったら、たぶん、色々晒してたかも」
「そ、そういう生々しいこと言わなくていいから…!」
包み隠さない那色の物言いに羞恥が一気に押し寄せる。思わず顔を上げれば、またも彼と目が合った。
その瞬間、すっと近づいてくる顔に今度こそ、羅華は抵抗できなかった。
唇が重なり、そっと割られた口内に舌が忍び込む。浅く触れるだけのやさしいそれが、くすぐるように内側を撫でてくる。
思考が、じんわりと溶けていく。
——これ以上は絶対、ろくなことになんてならないって、わかってるのに
頭ではわかっているのに、触れる唇も、絡めた手も、あまりに優しくて拒むことができなかった。
しばらくして、それは名残惜しげに離れた。熱の残る瞳が、羅華をまっすぐ見つめる。
「これ以上は何もしません。…ひとまず今は、ね」
「…っ」
「その代わりスる時は事前申告するんで、リクエストのものはお願いしますよ?」
「リクエストって…」
言いかけて、ハッと思い出す。
「ばっ…馬鹿じゃないの!?しないし、着ないから!!」
「はいはい」
噛み付く羅華を軽くいなすように言いながら、那色はひょいと立ち上がる。
「シャワー借りますね。タオルとか勝手に使っていいですか」
「…どうぞ」
羅華の短い返事に、那色はいたずらっぽい微笑みだけを残してリビングを出ていった。
「…、」
パタン、と閉まるドアの音が、妙に静かに響いた。
その場に座り込んだまま、羅華は鳴りやまない鼓動を隠すように、胸元の服をぎゅっと握りしめた。