蜜味センチメンタル
「羅華ちゃんなら大丈夫だろうって任せたけど、やっぱり問題無さそうだね」
「…どういう意味での信頼なのか気にはなりますけど…とりあえず、ありがとうございます?」
パスタを口に運び、咀嚼から嚥下まで終えたところで那色に声をかける。
「那色くんは年上が好きなの?」
そう尋ねると、那色は「いえ別に」とあっさりと否定した。
「僕に興味を持ってくれる女性に年上が多かったというだけで、僕自身が彼女達にこだわったわけではないです」
「あ、ああ…そう…」
つまり声をかけられれば誰でもいいと。そう捉えることもできる物言いに、少しだけ返事に困った。
「那色。羅華ちゃんドン引きしてるから。いつも言ってるだろ、お前の恋愛観は普通の女の子には理解できないって」
「別に理解してほしいなんて思ってません」
先ほどの大人びた態度が嘘のように、那色は大和の前では子供のように拗ねた顔を見せてふいと顔を背ける。
掴みどころのない子だなあという感想を抱きつつペペロンチーノを食べ進めていると、駄々っ子のように話を聞かない那色に大和は諦めたように肩をすくめた。
「こんな奴だけど、適当に相手してやってね。大人ぶってるくせに寂しがりなやつだから」
「はあ…」
「ちょっと店長、余計なこと言わないでください」
随分と仲がいいんだなと思いながら、羅華は二人を見比べる。
たしか大和は30歳、那色とはそれなりに年が離れているがどういう関係なんだろう。
そんな疑問を抱いたところで、羅華は首を振った。
——やめよう。こんなこと、邪推することじゃない
自分はここに料理とお酒、そして会話に癒されに来ているのだ。常に気を張って日々を生きる中、羅華が弱音を吐ける場所は少ない。
グラスを手に取り、最後まで飲み切ったところで2人に声をかける。