先輩はぼくのもの

歯車

「瀬戸くん…!?」

いきなり抱きしめられた。


「どうしたー…「すみません」

抱きしめられたのはほんの一瞬で、すぐに離れた瀬戸くん。


「お言葉に甘えて傘借ります。失礼しました」


そして帰っていった。


やっぱり瀬戸くん変だ…
なにかあったのかな。。



ヴーッ

玄関でそんなことを考えていると、スマホのバイブ音が聞こえた。


《コンビニ寄ったら詩先輩の好きそうなドリンク見つけた♪》


なんて可愛いメッセージ。

大好きな彼氏の昔からの友達が何か悩んでいるのかもしれない。


想汰くんに話した方がいいよね。
でもわたしと瀬戸くんが知り合いってわかったらサプライズもダメになるんじゃ…


《嬉しい!待ってるね♪》

想汰くんにそう返事をして、結局話せなかった。




ーーーーーーーーー

いよいよ明日は想汰くんの誕生日。

「ねぇ先輩、今日バイトだよね?迎えに行くし一緒に帰ろ」

「いいの?ありがとう」

「え?なんでお礼?」


大学の食堂。
想汰くんとふたりでお昼ご飯を食べている。

「え、だって迎えに来てくれるし」

「お礼なんていらないよ。ぼくが会いたいんだから」


なっ…!
思いがけない言葉に嬉しくて顔がカァーッと赤くなるのが自分でわかった。

「ん?どうしたんですか?」

「なにもないよ!」

そんな自分の顔を隠すように俯く。


ガシッ
「よぉ〜バカップルさん」

後ろから肩に腕を回された。

「龍弥!」

「俺も一緒に食っていい?」

「その手、今すぐどけてください」

「おぉ〜相変わらずヤキモチ妬きの彼氏だね〜」


想汰くんはキッと龍弥を睨む。

もー!最近仲良くなったと思ってたのに!!


「詩〜、想汰の機嫌が治るように謝るから俺の昼飯買ってきてー」

「テメーが行けよ」

「詩〜」

なんなんだ、このカオスな空気は。


「わかったよ、ちゃんと仲直りしててよ?」


わたしは龍弥が食べたいって言うカツ丼セットを買いに席を離れた。



「なんのマネですか?」

「なにが?」

「わざわざ先輩を離してってことです」

「んー、バレてたんだ」

「あんたとゆっくり喋る気ないんで。さっさと話してください」

「かわいげねーのな、相変わらず」


なんだ。
詩先輩のことか?

龍弥(コイツ)がわざわざー…

「アキラ、詩と知り合いなんだな」


ドクンッ!!

龍弥から【アキラ】という単語に心臓が大きく鳴った。


「は……?」

「昨日、詩ん家にアキラが来てたんだよ。詩に聞いてない?」


ドクンドクンー…

なんだよ、それ
詩先輩から聞いてない


それよりもなんで晃が詩先輩の家にー…


「なんだ、てっきりもう過去の事とか全部話したんかと思ったわ。まぁ、でもひとまずおまえに聞こうと思ってさ」

「そ…ですか」


嫌な予感がぼくを支配する。


くるしい


「はっはっー…」

息が荒くなる。


「想汰?大丈夫か?なんかおまえー…」


ガタッ

「…大丈夫です。すみません、ちょっと用思い出したんで先に失礼します」

「おいー…!」

「龍弥さん、教えてくれてありがとうございます」


ぼくはその場を後にした。


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