【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
航太の指が、紗良の顎をすくい上げるようにしてゆっくり顔を覗き込む。
逃げ場のない距離で、視線が絡んだまま、また一つキスが落とされた。
深く、柔らかく、けれどわざと終わらせるように浅く。

「……あ」

口を離したその瞬間、紗良の唇から漏れた小さな声に、航太は満足げに笑う。

「やっぱり。気持ちいいって、顔に出すのが早すぎ」

「……言わないで……」

「可愛いって言ってるだけ」

わざと呼吸の合間を見計らったキス。首筋をくすぐるような指先。
そして、意識がぼんやりしてきたところで、ぐいと抱き寄せられ、また深く、口内をゆっくりと味わうように舌が絡む。

「……ん、んっ……っ」

「焦らすと、甘くなるな。ほら、肩も力抜けてる」

耳元でそう囁かれるだけで、全身の力が抜けそうになる。
それを支えるように、航太は紗良の背中を丁寧になぞりながら、そっと胸元に顔を埋めた。

「警護してるあいだ、甘やかしたらどうなるのかなって想像してた......紗良のこと、触れて、声聞いて、こんなふうに……震えてるの、全部」

「……そんなの……ずるい……」

「ずるくていいよ。ずっと我慢してたぶん、今は独り占めする」

そっと、薄く開いた唇の端にキスを落としながら、今度は耳たぶに甘噛みする。
そのたびに、紗良の指が航太の背中にぎゅっとしがみついた。

「好きだよ、紗良。ほんとに……」

「わたしも……」

吐息混じりの言葉を聞いて、航太は静かに、けれど確かに彼女をソファに預けながら覆いかぶさる。

もう誰にも邪魔されることのない、恋人同士だけの甘い夜が、静かに深まっていく──
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