【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
ソファに横たえられた紗良の唇を、航太はじっと見つめたまま、指先でそっとなぞる。
呼吸が浅くなる紗良の様子を楽しむように、彼は低い声で囁いた。

「ずっと、こうしたかったんだよ。警護中は……どれだけ触れたくても、ずっと我慢してた」

「……うそ。あのとき、そんな顔一つしなかったくせに……」

「そりゃそうだ。プロだからな。でもな――」

航太の顔がさらに近づく。耳のすぐそば、くすぐるような距離。

「毎晩、きみの寝顔見ながら、どれだけキスしたくなったと思ってる?」

「……っ、そういうの……ずるい……」

「今はもう、止めなくていいんだろ? キスしても、抱きしめても、好きって何度言っても、誰にも咎められないんだよな?」

紗良が何も言えずにいると、彼はゆっくりと首筋に唇を這わせる。
優しいのに、どこかじれったく、焦らすようなタッチ。

「声、我慢するの? さっきからずっと可愛いのに、飲み込んでばっか」

「だ、って……恥ずかし……」

「いいよ、恥ずかしがらなくて。誰もいない。もう、隠さなくていい。……もっと、聞かせてよ。俺だけに」

わずかに震える肩に、航太は微笑んだ。
恋人になった今、自分のものになった紗良を、全身で受け止めるように。

「何度でも教えて。俺に触れられると、紗良がどうなるのか」
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