私の愛した彼は、こわい人
序章
物心つく前から、私は児童養護施設で生活していた。
施設の名前は『ヒゴロモソウ』。
色んな歳の子どもたちが暮らしていて、数人の支援員さんがお世話をしてくれた。
ごはんは三食食べられるし、お布団もあたたかい。建物は古かったけれど、不便なく過ごせた。支援員さんは優しい人が多かった。
だけど──ひとつだけ、私にとって辛いことがあった。
度が過ぎた意地悪をしてくる子たちがいたから。私より年上の男の子三人。
最初はチビとか、ブスとか弱虫とか、悪口を言われた。
なにも言い返せないでいると、今度は遊んでいた玩具を取られて揶揄われるようになった。臆病な私は、怒ることも取り返すこともできなかった。
当時四歳。嫌だという気持ちはもちろんあった。だけど、自分よりも体が大きい男の子たちにかなう力なんて到底なくて。
夜になって、布団を被って、一人でシクシク泣いていた。
次第に男の子たちの仕打ちはエスカレートしていって。
面白おかしく頭を叩かれた。背中を押された。パンツを脱がされて、お尻を触られた。それ以上にひどいことをされるようになった。
やめてって、抵抗した。私が嫌がれば嫌がるほど男の子たちは笑ってた。なにがそんなにおかしいのか全然わからなかった。
男の子たちが嫌がらせをしてくるとき、大人の目が届かない場所へ無理やり連れられた。建物の物陰だったり、倉庫の中だったり、トイレの個室だったり。
逃げたいのに、逃げられない。家族がいない私は、施設以外で暮らせる場所なんてなかったもの。
それは、他の子たちも同じ。養護施設で暮らす子どもは、みんな家庭になにかしらの事情や問題を抱えている。虐めてくる男の子たちもそうだったのだろう。
けど──
だからと言って、どうして、こんなに酷いことをされないといけないの……?
施設の名前は『ヒゴロモソウ』。
色んな歳の子どもたちが暮らしていて、数人の支援員さんがお世話をしてくれた。
ごはんは三食食べられるし、お布団もあたたかい。建物は古かったけれど、不便なく過ごせた。支援員さんは優しい人が多かった。
だけど──ひとつだけ、私にとって辛いことがあった。
度が過ぎた意地悪をしてくる子たちがいたから。私より年上の男の子三人。
最初はチビとか、ブスとか弱虫とか、悪口を言われた。
なにも言い返せないでいると、今度は遊んでいた玩具を取られて揶揄われるようになった。臆病な私は、怒ることも取り返すこともできなかった。
当時四歳。嫌だという気持ちはもちろんあった。だけど、自分よりも体が大きい男の子たちにかなう力なんて到底なくて。
夜になって、布団を被って、一人でシクシク泣いていた。
次第に男の子たちの仕打ちはエスカレートしていって。
面白おかしく頭を叩かれた。背中を押された。パンツを脱がされて、お尻を触られた。それ以上にひどいことをされるようになった。
やめてって、抵抗した。私が嫌がれば嫌がるほど男の子たちは笑ってた。なにがそんなにおかしいのか全然わからなかった。
男の子たちが嫌がらせをしてくるとき、大人の目が届かない場所へ無理やり連れられた。建物の物陰だったり、倉庫の中だったり、トイレの個室だったり。
逃げたいのに、逃げられない。家族がいない私は、施設以外で暮らせる場所なんてなかったもの。
それは、他の子たちも同じ。養護施設で暮らす子どもは、みんな家庭になにかしらの事情や問題を抱えている。虐めてくる男の子たちもそうだったのだろう。
けど──
だからと言って、どうして、こんなに酷いことをされないといけないの……?
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