私の愛した彼は、こわい人
「ああ、それと。ビュート化粧品を一式買わせていただいてもいいかしら?」
「あ……はい。ぜひ」
「ベル・フルールでビュート化粧品を扱ってもらえて本当に嬉しいわ。これからも定期的に購入するわね」
「ありがとうございます。あっ、でもビュート化粧品を購入できるのはコースに通われている方のみで。沢田様は間もなくコース契約が終わってしまいますが、継続はどうされますか?」
「それも言おうと思ってたの。継続するつもりよ」

 よかった。ついでにコース継続を聞き出すことができた。
 コース内容はこのまま同じにするか新しい工程に入るのか。本来はここで軽くカウンセリングするのだが、今の私には余裕がない。
 ごめんなさい、沢田様。

「のちほど阿川から今後の方針についてお話させていただきますね。お帰りの際、三〇分ほどお時間いただいてもよろしいですか?」
「もちろんよ!」

 フェイシャルマッサージが終わったあと、スチームを当てながらフェイシャルパックをお肌に塗布する。
 十分の間、いつもなら沢田様とお話ししたりケアアドバイスなどをするけれど、今日は無理だった。
 気持ち悪さが、限界に近づいている。

「では一度、失礼しますね……」

 沢田様のお返事を聞く前に、私は素早く施術室から出て行く。
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