私の愛した彼は、こわい人
 どうすればいいかなんて、答えられない。この先も答えを出す自信がない。考える時間は限られているのに。
 口を噤む私を眺めながらタクトは独り善がりな提案をした。

「一番いいのは、僕とアスカが一緒になって子供を育てることだよ。それが常識的だしね」

 ククク、と低く笑うタクト。
 膝の上で私は拳をギュッと握りしめ、首を振った。

「それは……考えてないよ、タクト」
「なんだって?」

 タクトの顔から笑みが消える。

「子供には父親が必要だろう? アスカも子供も僕が養っていくから安心してよ」
「お断りします。なにがあってもタクトとはよりを戻すつもりはないから」
「はっ……?」

 タクトの目つきが鋭くなった。
 徐々に怒りが湧き出るのがわかる。

「これまでのことを根に持っているのかい? 大丈夫、僕は今後君に暴力を振るったりしない。もちろん生まれてくる子も大切にする。約束だ。だから僕を信じて──」
「信じない!!」

 タクトの「出任せ」なんて、聞きたくない。いつもみたいに私を言いくるめようとしてるだけでしょ?
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