私の愛した彼は、こわい人
「で? どうすんの」

 主語のない雑な問いかけ。それでも、オーナーの言わんとしていることが安易に理解できてしまう。

「レガーロ化粧品の件ですよね。現時点で目標の半分も達成できておらず申し訳ございません」
「謝罪する前に対策は」
「対策、ですか……」

 どうしても、おどおどしてしまう。
 ここは慎重に。言葉を選ばなきゃ。

「再度フェイシャルのお客様を中心にカルテを見直そうと」
「ふーん」

 サングラスの向こう側で、私を睨みつける神楽オーナー。
 そんな怖い顔しないでほしい……。

「あとはレガーロ化粧品の良い部分を再確認し、ボディコースのお客様にもお勧めしてみます」
「で?」

 で?って。
 以上なんですが。

「終わり?」
「すみません」
「売れないのには理由があると言ったはずだが」
「はい。覚えています」
「原因を追求する気はないのか」

 そんなのどうやって。
 戸惑う私を見て、神楽オーナーは呆れ声になる。

「……お前さ、レガーロの営業マンと付き合ってるんだろ」
「えっ!?」

 唐突な質問に、私の心臓が飛び跳ねた。
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