私の愛した彼は、こわい人
 タクトは仰向けでドサッと倒れ込み、うつろな目をしてこちらを見上げた。

「これで、やっと……終わりだね」

 ヒューヒューと苦しそうな息を吐くタクトの声はどんどん弱っていく。

「永遠に。君のそばに、いられるよね……」

 タクトの胸元からどす黒い血が流れ落ちていき、それは止まることを知らなかった。

「こんなことしたって、一緒にいられるわけない……。最低だよ。タクトなんか、大嫌い……!!」

 頭がフラッとなり、私はタクトの隣に倒れ込んだ。
 タクトは生気のない目で私を見てる。けれど口角は上がっていて。不気味な笑顔を浮かべていて。
 やがて動かなくなった。
 なんで。どうしてこんなことになっちゃったの。
 意識がだんだんと遠のいていった。
 瞼がみるみる重くなり、ゆっくりと目を閉ざす。
 周囲の音も遠のいていく中、さいごに聞こえてきたのは。

「アスカ! なにがあったの⁉ しっかりしなさい……!」

 ユウキさんの、焦燥に駆られたような声だった。
 ユウキさん。来てくれたんだ。
 たくさん迷惑かけてごめんなさい。お礼もちゃんとできなくてごめんなさい。
 ジンさんにも、どうかよろしくと、お伝えてください。
 ──私の意識は、そこで途切れた。
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