私の愛した彼は、こわい人
「お前は無駄にカルテを見直しているだろ。客の事情をよく把握していて使える」
「無駄だなんて。大切なことです」
「アポは俺が取っておく。休日手当も出すから安心しろ」
「待ってください。カチコミだなんて……なにをするおつもりで?」
「レガーロに面出して本社の人間と直接話をするだけだ。四の五の言わず俺についてこい」
どんどん話を進める神楽オーナー。私には拒否する権利も与えられない。
いちスタッフである私がわざわざ取引先に訪問だなんて。阿川店長を差し置いて、おかしいでしょう。
それとなく訊いてみると、オーナーは「阿川には別の仕事を頼んである」と淡々と答えた。
せっかくの貴重なお休みなのに。いくら休日手当が出ても納得いきません。オーナーはベル・フルールをブラック企業にしたいの? 私なんかが同行しても役に立てるとも思えないし。
無意識のうちに、鞄に付けていた御守りを握りしめてしまう。
──私のクセだ。不安になると、御守りに触れて、心を落ち着かせようとする。
「無駄だなんて。大切なことです」
「アポは俺が取っておく。休日手当も出すから安心しろ」
「待ってください。カチコミだなんて……なにをするおつもりで?」
「レガーロに面出して本社の人間と直接話をするだけだ。四の五の言わず俺についてこい」
どんどん話を進める神楽オーナー。私には拒否する権利も与えられない。
いちスタッフである私がわざわざ取引先に訪問だなんて。阿川店長を差し置いて、おかしいでしょう。
それとなく訊いてみると、オーナーは「阿川には別の仕事を頼んである」と淡々と答えた。
せっかくの貴重なお休みなのに。いくら休日手当が出ても納得いきません。オーナーはベル・フルールをブラック企業にしたいの? 私なんかが同行しても役に立てるとも思えないし。
無意識のうちに、鞄に付けていた御守りを握りしめてしまう。
──私のクセだ。不安になると、御守りに触れて、心を落ち着かせようとする。