私の愛した彼は、こわい人
 私の返事に、彼の瞳に涙が浮かんだ。けれど、決してそれを落とすことはせず。
 彼はおもむろに私の左手を握った。指輪を手に取ると、私の薬指にゆっくりとはめていく。

「アスカにぴったりだ」

 私には大きすぎるダイヤの輝き。彼からの愛情を表現しているみたいで、なんだかとても照れくさい。

 ──ねぇ、ジンさん。私も、あなたに伝えたいことがあるの。クリスマスに贈る、最高のプレゼントにきっとなるはずだよ。

 私は、鞄から一枚の写真を取り出した。米粒のように小さくて、うっすらと見える白い影。新たな「命」が写し出されている尊いもの。
 それを見たジンさんは、目を大きく見開いた。

「アスカ? まさか。これは」
「はい。できました。……ジンさんとの、赤ちゃんが」 

 私のひとことに、彼は顔を真っ赤に染めた。立ち上がり、私をギュッと抱きしめてくれる。

「最高だ……。今までで一番、最高のクリスマスプレゼントだ!」

 ジンさんは興奮気味に私にキスをした。こんなにも嬉しそうな彼の姿、一度も見たことない。
 愛する人との尊い命を授かると、こんなに嬉しい気持ちになれるんだね。私、今、すごく幸せだよ。

「ジンさんがパパになるんですね」
「俺が、父親」
「まだ実感が湧きませんよね?」
「いや……。俺が父親。そうだ。俺が、父親だよ。アスカは母親。絶対にいい母親になる。この子は、アスカに似たらとんでなく可愛くなるぞ」

 私のお腹を優しく撫でて、ジンさんはこれ以上ないほど満ち足りた顔になる。
 ジンさんに似たら、きっと強くて優しい子になるんだろうなぁ。そんなことを考えた。
 あなたは私にたくさんの「幸せ」を教えてくれる。
 ジンさん。大好きだよ。心の底から、あなたを愛しています。この先もずっとずっと、あなたのそばにいさせてください。そうすればきっと、前を向いて生きていけるから。
 新しい家族と共に、輝かしい未来に幸せを描いていこう。


【終】
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