無自覚男子にキュン!
「おはよー」という挨拶が飛び交う中、私の鼓動は素早く動いたまま、昨日と変わらぬ状況におかれていた。
自分に喝をいれたいが、どのグループも入る余地がない。
「お」
思わず声が出てしまう。
私の視界に入ったのは、1人机に向かって本を読んでいる女子生徒。
私とは反対で、柔らかい茶髪にぱっつん前髪のボブ。
姿勢が正しく、紐リボンも綺麗に結べているのが素敵に思えた。
この機会を逃したら、ぼっち生活一直線だ。
足の方向は既にその子の元へと向かっていて、運命の境目にいるかのような緊張感が走る。
「あの…!」
私がこう声をかけると、その子は私に見向きもせずに本のページをめくりだす。
「私なら友達になってくれると思った?」
私のことを一切見ないまま一言、その子は言った。
「いや、え、あ、えっと」
やばい、ダメだ、またダメだ。
言葉が出てこない。
「あの子1人で可哀想だし、自分と同類だから声かけて、うまくいけば友達になれそう、とでも思った?」
「違うよ…」
「図星でしょ?」
先ほどまで本を見ていたその子は、私のことを睨みつけていた。