無自覚男子にキュン!
「あの……!」
え……?
私が声を上げた瞬間、急に何かの影が視界を遮り、暗くなるのが分かる。
影を見つめ、その正体が分かった私はすぐに前を向いた。
私の前に立ったのは航くんの姿だった。
「愛須、もう俺らは別で食べるばい」
「ちょっと何よ」
ああ、これじゃあ何も解決にならないよ。
悔しかった思いがここで溢れてしまうかのように、私は航くんの後ろで俯く。
「2人、仲良いんだね」
先ほどまで黙って見ていた航くんが、ついに口を出す。
「「は?」」
2人揃えて口を開く。
航くんの声質は変わらない。
「「誰がこんな奴と」」
「ほーら。
2人仲良いなら2人で食べなよ。
俺らは、俺らで食べるからさ」
え?
今なんて言いました?
「ねえ胡桃ちゃん。邪魔しちゃ悪いもんね?」と言い、振り向く航くん。
航くん!
助けてもらってこんなこと言うのは何だけど、2人とも航くんのこと睨んでるのが見えますよ…!?
焦る私とは反対に、神のような佇まいの航くん。
「どう思う?胡桃ちゃん」
全然助けてもらってなかったー!!!
心の中の私が騒ぎ出す。
「えっと……」
「はっきりしぃ。なんか文句あるなら言えや」
「漣さん、無理しなくていいのよ。2人で食べましょ」
「胡桃ちゃん、俺と食べようか」
こんなに問い詰められたことはかつてあるだろうか。
ただ、なんでだろう。
嫌な気持ちにならないのは。
____『このネガティブな性格、どうにかならないのかな』
今も私を苦しめるあの言葉より、マイナスなことじゃないのは確かなのだ。
私はみんなと出会えたことが何より嬉しい。
それに、出会ってすぐにこんなにも言い合えるなんて奇跡ではないかとまで思っているんだよ。
どうかこのまま思ったことを包み隠さず言える仲が続けばいいな。