モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
幼馴染は若手実業家になっていました
(ば、場違い……かも)
あかりは指定された店に入るやいなや、自分がここに相応しくないことに気付かされる。
「会ってくれない?相談があるんだ」
弟の幸人を通じて、三歳年下の幼馴染の理貴から連絡が会ったのは三日前。
カジュアルな店だから、と事前に言われていたのもあって仕事終わりのままの服装で訪れた店は、あかりの想像するランクより一回りも二回りも上回っていた。
「福田様ですね。藤井様よりご予約を承っております。どうぞこちらへ」
引き返そうとするあかりより早く、ホールスタッフが声をかけて案内をする。
パンツスーツに歩きやすいようにローヒールな自分の姿が場違いなのはわかっていたが、あかりはスタッフのあとについていくしかなかった。
理貴の言い分を丸っと鵜呑みにして事前に調べなかった自分を呪う。そして、公務員の自分との違いをヒシヒシと思い知る。
(理貴、社長だもんな)
昔は幸人と共にあかりの後をついてきていたのに。
理貴は学生時代に企業して、今では知る人ぞ知る若手実業家としてバリバリ活躍しているのだ。