モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
あかりはそんな中途半端な自分の存在を今すぐ消し去りたくなる。
二ヶ月前までは颯が好き、と自信を持って言えたのに、今すんなり口から出てこない自分も。それなのに唇を許している自分も。颯と理貴を両天秤にかけてフラフラとしている自分も。
今の自分は大嫌いで、それなのに颯と理貴の優しさに甘えている。
不甲斐なくて、気づいたらあかりの目には一度止まったはずの涙が滲んでいた。
唇を離した颯は自身の手のひらであかりの涙を拭うと、呟いた。
「泣くな」
優しい声色が、あかりの涙腺を崩壊させた。
今は外じゃなくて家だと、一度気が緩んでしまったあかりの涙は止まる気配を見せなかった。
しゃっくりと嗚咽を上げながらむせび泣くあかりをゆっくりと胸に抱きとめた颯は、もう一度静かに呟いた。
「泣くな。困るだろうが」
そのぶっきらぼうな言い方は、いつもの颯らしくてますますあかりの涙が止まらなくなる。
颯はふぅ、と息を吐く。鬱陶しいそうなため息ではない。なぜなら吐き出した息の中には、迷惑な感情は全く含まれていなかったからだ。