モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
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「じゃあな、福田」
やっと泣き止んだあかりを見た颯は、話は終わりとばかりに立ち上がる。名前ではなく敢えて名字で呼ぶ颯は、二人の関係が終わったことを暗に示していた。
「はや……山科係長!」
あかりは思わず立ち上がり呼び止めてしまう。振り返った颯にあかりは確認する。
「また、ご指導いただけますか?山科係長は、私の理想とする警察官そのものなので」
「当たり前だ」
あかりの言葉に間髪入れずに颯は答える。
「部署は違うが同じ所轄なんだ。一緒に仕事することもある。指導というかアドバイスくらいいつでもしてやる。だが……」
颯はあかりの姿に目を細めた。ひたむきで真っ直ぐで努力を惜しまない彼女に向けて、自分にできる最大限の叱咤激励を送る。
「俺を理想にするな。超えていけ。わかったか?」
颯の言葉に驚き目を見張ったあかりは、敬礼しながら元気よく答えた。
「はいっ!」