モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


「やっと落ち着いたところで、マスコミ対策で業務が滞るのは少し困るんだ。今みんな忙しい時期だし」
 珍しく疲れた様子でため息をつく理貴に、あかりは詫びた。
「ごめん、そんな時に来ちゃって」
 理貴はニコリと笑う。
「僕個人としては大歓迎なんだよ。実際ずっとあかりちゃんに会いたかったし。でも……」

 あかりは体が急速に冷たくなるのを感じる。
 理貴は突き放したわけじゃない。だが、あかりは思ってしまったのだ。

 ――早見七星とは話題になってもいいのに、私ではダメなんだ、と。――

 (だめだ、このまま居たら……)

 きっと今まで溜めていた言葉を鋭いナイフとして理貴に投げつけてしまう。
 あかりは、心の内を隠した表情を貼り付ける。理貴ほどではないかもしれないがあかりも仕事柄、得意な方だ。
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