モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
あと一つ、確認したいことがあったのだ。
だが、聞いてしまえばガラリと空気が変わる。
今、楽しく昔話に花が咲いているのだ。このまま続けて今日、何事もなく別れることも可能だ。
ここで話を切り出さなければ、波風を立てずに終われる。当たり障りない会話をして、何年か後に今夜は楽しかったなぁ、と振り返ることができるだろう。
それでもあかりは話を切り出すことを決めた。
どちらに転んでも理貴ともう会う気がなかったからだ。
幼馴染とはいえ、あかりとは学年が違う。仲が良かったのも、今も付き合いがあるのは弟の幸人だ。性別も違うあかりとはそもそも関係が薄いから、誘われたとしても断り続ければそのうちフェードアウトできるだろう。
それに、今あかりは自身でもわかるくらい隙がある。弟のような理貴に絆される気はさらさらないが、万が一、いや億に一、理性が吹っ飛んだタイミングで迫られたら断りきれるか自信がない。
仮に一夜の過ちだったとしても、すぐに幸人に筒抜けになるだろう。となると、兄の雅人や父の耳に届くのも時間の問題だ。そうなると益々ややこしくなる。
ならば、今日を最後に関係を断てばいい。別に今まで通りなのだ。何も失わない。
今日しかチャンスはない。聞いておかないと、もう聞く機会はないだろう。ささいなことだが、この先もモヤモヤした気持ちで生活するのは、どうもスッキリしない。
ならば、訊ねるしかない。幸いにもあかりには失うものは何もない。
開き直ったあかりは、単刀直入に問いかける。
「なんでいきなりプロポーズしたのよ。……もしかして冗談とか?」