モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
春休みなのに、メソメソと引きこもっていたたあかりを鬱陶しがった母が、一番暇な人間である幸人に命じて外に無理矢理連れ出したことがあったのだ。その時、一人では荷が重いと言った幸人が一人友達を連れてきた記憶がある。
「まさか……あの坊主頭って……」
「僕だよ」
「……マジで?」
「うん」
あかりは恥ずかしさのあまり、机に突っ伏した。
あの春の出来事は、あかりの人生でトップ三に入るほどの黒歴史だ。自分でも記憶を消してしまいたい程の失意のどん底時に理貴と再会しているなんて。
それにしてもいくら坊主だったとはいえ、見知っているはずの理貴の顔を覚えてすらいないとは。自分が情けなくて帰りたくなる。
引っ張られるように、あの頃の苦い思い出が蘇ってきたあかりは、苦虫を噛み潰したような顔をした。
(確か……「会えない時が愛を育むんじゃないのかー!」とかクサイセリフを叫んでいたような気が……)
自身の小っ恥ずかしい言葉に胃が痛くなったあかりだが、一つ思い出すと後は数珠つなぎに闇に葬っていた記憶が次々と思い出されていく。