モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
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『理貴と会ったんだって?』
幸人からメッセージが入っていたのは、理貴と再会してから一週間経った頃だった。
送信時間を見ると一時間前。あかりは幸人に電話をかけた。
『……俺、非番なんだけど』
開口一番、二十四時間勤務明けで疲れているアピールをする弟にあかりはイラッとしながら返事をする。
「私なんて休日出勤だよ、今日」
『よくあることだろ?生活安全課なんてどこも人手不足なんだから』
「そうだけど……」
『いいじゃん、休出って言っても昼過ぎには終わってんだから』
幸人の言葉にあかりは頷くしかない。
あかりの所属している生活安全課は、多種多様の相談を受ける。
最近多いのがDVやストーカーなど、恋愛が絡む事例だ。
相談者が女性の場合は、基本的に女性警官が聞き取りをしていく。
昨日はたまたま女性の相談者が多くて、当直の警官だけでは仕事が手が足りなかったのだ。
昇給試験に合格して巡査から一つ上の巡査部長にはなっているが、まだ課の中では下っ端だ。
特に予定もなかったあかりは、居残って聞き取りや書類の作成をしていたのだ。