モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「それはそうと。アンタ、理貴と連絡取ってたんだ?」
『取ってたよ、ずっと』
「仲良かったもんね」
幸人はフッと息をつく。電話口でわかりにくいが、多分笑っているのだろう。
あかりが再び口を開く前に、幸人は先手を取った。
『で、「付き合おう」くらいは言われた?』
「なっ……!」
弟の突然の発言にあかりは口をパクパクする。
電話口の向こうで幸人が爆笑する声が聞こえる。
憎たらしく思うのに、言葉が出てこない。
『図星?』
「あ、アンタには関係ないでしょ!?」
『当たりか。ま、理貴に頼まれていたからな。あかりがフリーになったら教えてくれって』
幸人の口から聞き捨てならないセリフが飛び出す。
あかりの声が低くなる。
「なんでアンタが知ってるのよ。管轄違うでしょ?」
あかりは東京の警視庁、幸人は神奈川県警なのだ。大事件ならともかく、一警察官の管轄を跨いで情報共有するなんてことは、まずない。
なんとなく情報源は誰なのか、予想はしているが。