失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 なんか、肌が突っ張る……。寝返りを打ったタイミングでがばりと身を起こし、辺りを見回した。ここは私のアパートでいつもの自分のベッドだ。ただひとつ、昨日と同じ服を着たままであり、ついでにメイクも落としそびれている。

 あーあ。やっちゃった。

 やはり最後のマルガリータはちょっと余計だったかもしれない。

 ひとり反省しつつはたと気づく。どうやってアパートまで帰ってきたんだっけ?

 そこで私の血の気は一気に引いた。たしか十年ぶりに再会した光輝さんに送ってもらったのだ。

 テーブルの上にはメモが置いてあり、几帳面な彼の字で、私が持っていた鍵で施錠しドアポストに入れてある旨が書いてある。

 一体どこまで迷惑をかけたら気が済むのか。もう私は社会人で、彼は恋人でもなければ友人でもない。ただ親友の兄という間柄なだけなのに。

 ひとまずお詫びと、支払いそびれたバーのお金を渡さないと。

 時刻は午前八時過ぎ。とりあえずシャワーを浴びて光希に連絡しようと決める。それにしても、ずいぶんと自分に都合のいい夢を見ていた気がする。

『もう十分にがんばってる。ひとりで抱え込まなくていい』

 優しく彼に抱きしめられたのを思い出し、頭を振る。お酒って怖い。彼は初恋の相手ではあるものの、その想いはとっくに断ち切っていたのに。
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