失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 光輝さんと初めて出会ったのは中学生の頃。親しくなった光希の家に遊びに行ったときだ。

 光希に五つ年上の兄がいるとは聞いていたが、いざ対面するとそのカッコよさに驚いた。

『こんにちは、お邪魔しています』

『いらっしゃい』

 高校生だった光輝さんは優しく迎え入れてくれた。

『お兄ちゃん、彼女が話してた山口未可子ちゃん。勉強もできるしバスケもすごく上手で、私の憧れなんだー』

『そ、そんなことないよ』

 突然、褒めちぎられ戸惑う。光輝さんは笑顔になった。

『初めまして、光希の兄、光輝です。ゆっくりしていってね』

 会話らしい会話はない。きっと中学生が年上に憧れて舞い上がっている、それだけだ。

 光希の家にはよく呼ばれて、毎回ではないが彼とも顔を合わせるようになった。ふたりで試験勉強してもわからないところを光輝さんが丁寧に教えてくれるなど、少しだけ交流があったものの、あくまでも親友の兄というポジションは変わらない。

 彼が大学生になり、都内一の名門大学の法学部に首席で合格して入学式の新入生代表挨拶をしたと聞いたときは驚いた。彼と会う機会は減ったが、高校生になった私は別の問題に直面していた。

 中学から続けてバスケ部に入部した私と光希だが、光希が部活に来られなくなり、塞ぎ込むことが多くなったのだ。

 イジメというほど大きな問題ではなかったが、先輩たちの気に入らない後輩に対するあたりの強さはあからさまで、光希も目をつけられたひとりだった。
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