失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
『余計なことを言って悪かった』

 ぽつりとつぶやかれ、彼の方を見る。

『浅はかだった。光希を含め、山口さんみたいな人間に救われて、支えられている子は多いんじゃないかな』

 微笑まれ、胸の高まりを感じたのと同時に視線を逸らす。続けて頭に手のひらの感触がある。

『応援してる』

『ありがとうございます』

 小さくお礼を告げ、赤くなっているであろう頬を隠すのに必死だった。

 それから、光希の家に行った後にタイミングが合えば何度か彼に送ってもらい 、ふたりで話す機会はそれなりに増えた。

『これね、お兄ちゃんから』

『え?』

 ある日、光希から紙袋に入ったウサギのぬいぐるみを手渡された。私の好きなキャラクターのもので、目が点になる。

『未可子が好きなキャラクターでしょ? なんかゲームの景品でもらったって言ってた』

『光希、私がこのウサギグッズ集めてるってお兄さんに話したの?』

 もしかして光希宛のものだったのではないか。しかし光希は首を横に振った。

『私は言った覚えないんだけどなー。最初から未可子にって。よかったら、もらって』

『う、うん』

 正直、うれしい。グッズを集めているキャラクターのぬいぐるみというのもあるが、光輝さんからなにかもらえたのが。それにしても、私もこのウサギのキャラクターが好きだとは彼に話していない。

 そこで別の角度に考えが移る。
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