失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 店を出てふたりで駐車場まで歩く。

「光輝さん、改めて本当にありがとうございました」

 お礼を告げると、彼が足を止めた。

「大林さんの件はもちろんですが、私たちの関係も両親が納得できるように上手に説明してくださって。私、あなたにどうやって恩返ししたらいいのか……」

 いろいろと彼に任せっぱなしで申し訳ない。ふと顔を上げるとすぐ目の前に光輝さんが立っていた。

「その言い方はまるで、俺が本当のことを言ってないようだな」

 怒ってるわけではなさそうだが、なんとなく皮肉めいた感じを受け、慌てて訂正しようとする。

「そ、そういう意味では」

「多少の言葉のあやはあったかもしれないが、君や結婚に対する気持ちに嘘偽りはない。そこは理解しておいてほしい」

 フォローする前に、光輝さんは真面目な面持ちで告げた。

「わかり、ました」

 短く返すと彼は再び踵を返す。心臓が早鐘を打ち出し、目線を下げる。

 事実だとしても、どこまで彼の本音なのだろう。好きとか愛しているとか言われたわけじゃない。それでも誠実に向き合ってくれる光輝さんに惹かれる一方だ。

 思いきって駆け出し、彼の左手を取る。

「私も光輝さんを必ず幸せにしますから!」

 さっきの彼の発言を返す。勢いのまま口にしたが鼓動が速い。光輝さんは目を丸くした後、口もとを緩め私の手を強く握り返してくれた。

 意図せず手をつないだ状態になり、緊張しつつそのままでいる。

「……大林さんと、どうやって話し合いをしたんですか?」

 沈黙に耐えきれず、私から話題を振った。
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