失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 翌日、光輝さんの実家に挨拶に行くと終始光希がうれしそうに仕切り、照れくささと恥ずかしさで背中を丸めていた。

「お兄ちゃん見る目あるよ。未可子と義理の姉妹になれるなんてすごく幸せ! ありがとう!」

「光希のために結婚するわけじゃない」

 兄としての光輝さんを見るのはなんだか新鮮だ。兄妹の軽快なやり取りを微笑ましく見る。光希の親友としてご両親とは前々から顔見知りだったので、昔話に花を咲かせ盛り上がる。

 後継ぎではないにしろ、彼は鷹本化成の社長の孫であり、光希もそうだが、お家も立派で一流の家庭だ。娘の親友としてならともかく、息子の結婚相手となったら反対されるのでは、とどこかで不安だったが、光希もご両親も光輝さんの結婚をすごく喜んでいた。

 そのとき、光希のお母さんがお茶のおかわりを用意するとキッチンへ向かうので、私も手伝うと告げ彼女についていく。

「まさか未可子ちゃんがお嫁さんに来てくれるなんて、うれしいわ」

 お湯を沸かす間、新しいティーカップの準備をしながら、お母さんはうれしそうに声をかけてきた。光希とよく似ていて、ほんわかした雰囲気がかわいらしく、上品さのある美人だ。

奈緒(なお)さん。あ、いえ。その、お義母さん」

 すぐに言い直す。光希の友人として鷹本家に出入りしていた頃、光希に『お母さんのことは名前で呼んであげたらいいよ』と言われ、奈緒さんも同意したので、ついそれから名前で呼ぶ癖がついてしまっている。
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