失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「ふふ。無理に呼び方を変えなくてもかまわないわよ。でも未可子ちゃんにお義母さんって呼ばれるのもいいわね」

 お義母さんは穏やかに笑った。そんな彼女に、私は意を決する。

「実はお話ししておきたいことがあるんです」

「どうしたの?」

 私の迫力にただならぬものを感じたのか、お義母さんは目を丸くした。

「光輝さん、私と結婚する際に、私の実家の抱えている問題を解決してくださって……。金銭面での援助もしていただいたんです」

 言うかどうか迷ったが、これを伝えないのはフェアではない気がした。もしこれが原因で結婚を反対されたり、私の印象が悪くなったりしても文句は言えない。

 ぎゅっと唇を引き結び、お義母さんの反応を待つ。

「あら素敵。あの子にそんな情熱的な部分があったなんて」

「え?」

 あっけらかんとしたお義母さんの切り返しに、意表を突かれる。

「光輝が決めたなら、私たちはなにも口出ししないわ。それにしても、あの子が誰かのためにそこまでするのに驚きよ。本当に未可子ちゃんが大切なのね」

「そ、そんな……」

 否定するのもなんだか失礼だ。しかしどう返してらいいのか。戸惑う私に、お義母さんはにこりと微笑んだ。

「それにね、そうやってきちんと事情を告げてくる未可子ちゃんの真面目で誠実なところ、私も光希もすごく好きよ。おそらく光輝も。光輝の意思が一番、大切だけれど、あの子が未可子ちゃんを選んで心からよかったと思うわ」

 お義母さんの言葉に、なんだか泣きそうだ。
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