失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「あの、犯人を捕まえてくださってありがとうございました」
女性が光輝さんを見て頭を下げる。私は労わるように女性に声をかけた。
「荷物、驚かれましたね」
「ええ。今日は買い物に来ていて、ふらっと映画でも見ようかと思い立ったんです。おかげで予告が始まってから館内に入ったんですけれど、本編は最初から見られたからよかったなーって夢中になっていたら、最後にこんなことになるなんて……」
たしかに予想もしていない事態だっただろう。私も直接なにかされたわけではないが、男性と対峙したときの怖さは忘れられない。彼女はもっとショックだったはずだ。
「エンドロールが始まってすぐの頃だったんです。何人かは席を立つ人がいましたけれど、私は最後まで楽しむ派で。そうしたら隣に座っていた男性も席を立つので、通路側の一番端に座っていた私は、渋々寄ったんです。そのタイミングで、男性がぱっと私の荷物を手に取って走っていくから、もうわけがわからなくて、パニックに陥りそうになりながらも気づけば叫んでいました」
私も男性が向かってきたとき、よけるどころか声も出なかった。突然の出来事を前にすると、人間動けないのだろ実感する。
女性がやけに饒舌なのは、興奮しているからなのだろう。話すことで気持ちを落ち着かせているのかもしれないと、適度に相づちを打ちながら聞き入る。
女性が光輝さんを見て頭を下げる。私は労わるように女性に声をかけた。
「荷物、驚かれましたね」
「ええ。今日は買い物に来ていて、ふらっと映画でも見ようかと思い立ったんです。おかげで予告が始まってから館内に入ったんですけれど、本編は最初から見られたからよかったなーって夢中になっていたら、最後にこんなことになるなんて……」
たしかに予想もしていない事態だっただろう。私も直接なにかされたわけではないが、男性と対峙したときの怖さは忘れられない。彼女はもっとショックだったはずだ。
「エンドロールが始まってすぐの頃だったんです。何人かは席を立つ人がいましたけれど、私は最後まで楽しむ派で。そうしたら隣に座っていた男性も席を立つので、通路側の一番端に座っていた私は、渋々寄ったんです。そのタイミングで、男性がぱっと私の荷物を手に取って走っていくから、もうわけがわからなくて、パニックに陥りそうになりながらも気づけば叫んでいました」
私も男性が向かってきたとき、よけるどころか声も出なかった。突然の出来事を前にすると、人間動けないのだろ実感する。
女性がやけに饒舌なのは、興奮しているからなのだろう。話すことで気持ちを落ち着かせているのかもしれないと、適度に相づちを打ちながら聞き入る。