失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「鷹本警視正の話、長山さんがよくしてくださいます。未来の警視総監か警察庁長官だって」

「テレビやメディアではやたらキャリアとノンキャリを対立的に描くが、実際はそんなことない。自分が世話したキャリアが上に行くのは誇らしいもんさ」

 うれしそうに話す長山さんの言葉に、自然と笑顔になる。

 やっぱり光輝さんはすごい人だ。

 その後今回の件についていろいろ尋ねられ、むしろ光輝さんは逆にいろいろ質問していた。

 最後に光輝さんから長山さんにこそこそと伝えると、長山さんは急にそれまでの冗談交じりの態度を一転させ、厳しい面持ちで光輝さんの話を聞いていた。

 そこらから長山さんの指示を受けた立岩さんがどこかに確認のため電話を始め、緊迫した空気になったのを肌で感じる。

 私に事情を説明する人は誰もいなかったけれど、私が口を出す問題でないのは理解できる。

 なにが起こったのか。しばらくして光輝さんとともに解放されたものの、いいのだろうかと戸惑う。

 とはいえ疲れた。軽くため息をつくと覗き込まれる。

「大丈夫か?」

「はい」

 心配そうに尋ねられ、苦笑する。

「付き合わせて悪かったな」

「いいえ。むしろ光輝さんがお仕事している様子がちょっと見られて、うれしかったです」

 長山さんから、私の知らない光輝さんの話をたくさん聞けたのもよかった。さらにそう告げると、光輝さんは苦虫を噛みつぶしたような顔になる。
< 75 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop