失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「話半分で聞いておいてくれ」

 その反応にふふっと笑みがこぼれる。

『あの当時、署にいるフリーの女性警察官の大半は鷹本くんに惚れていたんじゃないかなぁ。へたすりゃ既婚者にまで狙われていて、鷹本主任のキャリアに傷をつけさせるわけにはいかない!って班みんなで、鷹本くんをガードしたり』

 多少の脚色はあるかもしれないが、それでも納得する。光輝さん、やっぱりモテていたんだな。

 長山さんをはじめ、守られる光輝さんを想像すると、なんだかかわいらしい。慕われていたんだな。

『鷹本警視正、実力は十分なのに顔がよすぎて公安……ゼロからはずされたって聞きましたけど』

『それは長山警部が流したデマだ』

 立岩さんがおそるおそる質問すると、光輝さんは間髪をいれずに否定した。しかし、長山さんも負けじと言い返す。

『いや、俺はその線を推すね。長年、警察にいていろいろな人間を見てきたからわかるんだ。ハムはいくつもの顔を持たないとならないから、目立つ容姿はいい意味でも悪い意味でも印象に残るのがネックだな』

 ハムの意味がとっさにわからなかったが、おそらく公安を示す隠語だと気づく。

 光輝さんはあきれたように軽く肩をすくめた。警察組織に疎い私でも公安がどのような部署なのかは知っている。警察の中でも一部のエリートしかなれない国家を守る仕事だ。
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