失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「お姉ちゃんって、昔からそう。姉だからって全部ひとりで抱え込んで、私を守ろうとしてくれるの。うれしいし甘えてばっかりだけれど、私だってお姉ちゃんがつらい思いをするのは嫌だよ」

 光輝さんが実家に挨拶に来た際、妹はつわりがひどくとてもではないが対面できる状態ではなかったので、結局会えず仕舞いだった。

 彼に会えていないのも妹の不安に拍車をかけているのだろう。

「あのね、可南子が罪悪感とかうしろめたさを感じる必要は全然ないの! 実はね……光輝さんは、その、私の初恋の相手なんだ」

「え?」

 口にして私も恥ずかしくなる。けれど本当の話だ。

「ずっと憧れていた存在だから、結婚してもらえて私、幸せだよ」

 本音を口にしたが、妹は渋い顔を崩さない。

「結婚してもらえて、って……。やっぱりなにかあるの?」

「そ、そんなことないって!」

 妹の指摘に慌てて返した。

「体調……落ち着いたら、光輝さんに挨拶したい」

「うん。無理しないで」

 光輝さんに会ったら、可南子も少しは安心するかもしれない。可南子は急にこうべを垂れた。

「お姉ちゃん……迷惑ばかりかけてごめんね」

「迷惑じゃないよ! 可南子の赤ちゃん、楽しみだなー。私、伯母さんとしていっぱい甘やかしてあげる予定!」

 迷いなく出産を決めたものの不安を抱かないわけがない。ましてや妹はシングルマザーの道を選んだのだ。おなかの子の父親である別れた恋人は海外にいるらしく、もしそうではなくても連絡するつもりはないと妹はそこだけは譲らなかった。
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