恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「いつ、まで……?」


鼓動がやけに大きな音でリズムを刻む。


「まだはっきりしないが、三年くらいかな」


まるで他人事のようにさらりと告げ、酒の入ったグラスを綺麗な長い指で揺らす。


「支社を転々とするだろうから、赴任期間が長引く可能性が高い」


カラン、と彼の手の中にあるグラスの氷が涼やかな音を立てた。


「そんなに、長いの……?」


自分でも驚くほど弱々しい声が出た。

誤魔化すようにうつむくが、テーブルを挟んで真向いに座る彼にはしっかり聞こえていたようだ。


「寂しがってくれるのか?」


ツン、と胸元まである髪が緩く引っ張られ、ほんの少しだけ視線を上げる。

骨ばった長い指が私の頬にかかる髪をひと房つまんでいた。


「眞玖、顔を上げて」


名前を呼ばれ、胸がきゅうっと締めつけられる感覚に驚く。


今まで名前なんて何度も呼ばれているのに。


峰岡くんは私の名字を呼び捨てにするが、藤宮くんは友人になってすぐ、私の下の名前を呼んだ。

というより、読み方に興味津々だった。


『なあ、名前、この漢字でなんて読むんだ?』


それが彼との最初の会話だった。
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