恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
背負う立場と完璧な容姿のふたりは、学内でとても有名だった。

一方の私は住む世界が違いすぎて、恋心どころか憧れすら抱いていなかった。

ところがゼミが同じになり、たまたま藤宮くんと隣の席になった。

藤宮くんは峰岡くんとよく行動をともにしており、おのずと三人で会話をするようになった。

彼らは自分たちの進む道をきちんと考え、日々努力していた。

自分の立場にあぐらをかかず、ふさわしくあろうとする姿がとても眩しかった。

彼らの姿に触発され、自分なりに将来を真剣に考えるようになった。

ふたりがモテるのは言わずもがなで、特に藤宮くんの近くには常に女性の姿があった。

洗練された綺麗な人たちばかりで、告白場面に出くわしたのも一度や二度ではない。

私は社会人になって恋人ができたが、お互いの生活環境の違いからすれ違い、別れてしまった。

元恋人を私なりに大切に想っていたが、燃えるような恋心を抱いていたかと問われれば即答できない。

私は恋愛に向いていないのかもしれない。

当時、私が恋人と別れたことを知った藤宮くんが慰めの会を開いてくれた。


『眞玖は将来俺が嫁にもらうから安心しろ』


とんでもない慰めの台詞に、心がみっともないくらいに乱れる。

必死に動揺を抑え、声を出す。


『丁重にお断りします』


『即答だな。少しくらい迷わないのか?』


『無理』


言い切る私に、藤宮くんはハハッと声を漏らす。
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