恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「よかった、捜していたんだ」


ゆっくり振り返る。

そこには心配そうな表情を浮かべた峰岡専務が立っていた。

走ってきたのか、珍しく息が乱れている。

匡ではなく安堵するともに、なぜか悲しくなった。


「専務、どうしてここに? 今日は大阪に出張だったのでは?」


「予定を早めに切り上げて急遽戻ってきたんだ。親友と大切な社員の危機だからな。今しがた長谷部を車中から見かけて、思わず車を降りて追いかけて来た。何回か連絡したんだが捕まらないからな」


専務の指摘に、慌ててバッグからスマートフォンを取り出す。

確かに何件もの着信が残っていた。

どうやらスマートフォンの着信モードがいつの間にかサイレントモードになっていたようだ。

夕方に使用していた際に、誤って操作してしまったのか。


「すみません、気づかずに」


「いや、とにかく会えてよかった。匡とは話せたか?」


単刀直入に尋ねられ、体が強張る。


「……その様子だと拗れたみたいだな」


察しのよい友人は、困ったように深い息を吐いた。


「やっぱり私と彼では元々無理があったんです」


無理やり絞り出した声が掠れる。

匡の名前を出すだけで心がヒリヒリ痛む。

これから先、この痛みを乗り越えられるのだろうか。
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