恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
自分の余裕のなさに苦い思いがこみ上げる。

いつも、そうだ。

眞玖が関わると途端に冷静でいられなくなる。

できるなら俺の腕の中でずっと甘やかして囲って、外に出したくない。

本当はずっとそんな物騒なことを思っていた。

だが眞玖は黙って守られるような女ではない。

負けず嫌いで一度決めた目標を投げ出したりせず、俺をライバル視して勝負を挑んでくるくらいだ。

器用そうに見えて優柔不断なところもあり、人を色眼鏡では見ず、自身が感じたまま素直に接する。

俺の周囲にいる女性たちとは違う、彼女への小さな興味はいつしか好意に変わり、ゆっくり恋心が募っていった。


入口近くにいる、顔見知りの警備員はいつものように通してくれた。

そのまま勝手知ったる専務室へと向かう。

眞玖が気がかりで知らず知らずのうちに早足になる。

このまま専務室の中に眞玖がいればいいのにと願わずにはいられない。

形ばかりのノックをして入室すれば、不機嫌な表情を浮かべた親友が執務机に凭れるようにして立っていた。


「匡、女にモテすぎて大事なものを見失ってないか?」


「なんの話だ?」


渋面を貼りつけた宰が大きく息を吐く。
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