恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「長谷部の悩みを知っていたのか?」


「仕事が忙しくてゆっくり会う時間をとれなかったのは悪いと思っている……寂しくさせた」


「当たらずとも遠からずだな」


眞玖が去り、焦っている俺とは対照的に、落ち着いた親友の態度が癪に障る。


「俺を睨んでもなにも解決しない。少し落ち着け」


「婚約者に泣きながら終わりを告げられたんだ。冷静になれるはずがない」


心配してくれている親友に当たり散らすなんて最低だとわかっているのに、酷い言葉が口をつく。

いい年をして、自分の余裕のなさにうんざりする。


「……悪い、言い過ぎた。最低だな」


「とにかく頭を冷やせ。取り乱したままでは長谷部ときちんと向き合えない」


「……もう、どうしていいかわからないんだ。俺なりに眞玖に向き合ってきたつもりだった」


「酷な話をするが、恐らく匡の気持ちは長谷部にまったく伝わっていない」


真剣な目で俺を見つめた宰がきっぱり言い切る。


「俺の知っている長谷部は、ずっと匡に遠慮しているようだった。仕事が多忙な匡を煩わせてはいけないと考えていたんだろう。匡の仕事や家族がらみの用事と比較して、自分の優先順位はずいぶん低いと思っていたようだ」


「まさか……」


「匡と俺は良くも悪くも、お互いの性格を大体把握しているよな?」


唐突な親友の問いかけに無言で頷く。
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