恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
癇癪を起こして、一方的にさよならを告げた私を彼は許さないだろう。
自分が口にした言葉の重みに胸が軋む。
だけど膨らんでいく不安とすれ違いを修復する方法が、あのときの私には見つけられなかった。
物わかりの良い恋人で居続けるのは、もう限界だった。
だからといって、嫌いになったわけじゃない。
むしろ好きで、愛しすぎるから不安なのだと、匡に告げる機会が、今の私に残っているだろうか。
室内はもちろん、廊下もなにひとつ音がしない。
静かな空間の中、吐いた息は重たい。
そのとき、バタバタと誰かがこちらに向かってくる足音が聞こえた。
反射的にスマートフォンに視線を移すが、相変わらずなんの反応もない。
峰岡専務が直接知らせに来てくれたのだろうかと考え、ドアの取っ手に手をかけて急いで開けた。
「専務、あの……」
「眞玖!」
私の呼びかけに低い男性の声が重なった。
目の前に匡が立っていた。
走って来たのか、いつも綺麗にセットされている髪も息も、乱れている。
ずっと考えて想っていた、大好きな人の姿を呆然と見つめる。
喉がカラカラに乾いて、うまく声が出せない。
「なん、で……ここ……」
「宰が眞玖の居場所を教えてくれた。酷い言い方をして悪かった。頼むからもう一度俺と話をしてくれないか?」
早口で言い募る姿には普段の冷静さが見当たらない。
いつも自信に満ち溢れた面差しはどこか暗く悲し気だった。
自分が口にした言葉の重みに胸が軋む。
だけど膨らんでいく不安とすれ違いを修復する方法が、あのときの私には見つけられなかった。
物わかりの良い恋人で居続けるのは、もう限界だった。
だからといって、嫌いになったわけじゃない。
むしろ好きで、愛しすぎるから不安なのだと、匡に告げる機会が、今の私に残っているだろうか。
室内はもちろん、廊下もなにひとつ音がしない。
静かな空間の中、吐いた息は重たい。
そのとき、バタバタと誰かがこちらに向かってくる足音が聞こえた。
反射的にスマートフォンに視線を移すが、相変わらずなんの反応もない。
峰岡専務が直接知らせに来てくれたのだろうかと考え、ドアの取っ手に手をかけて急いで開けた。
「専務、あの……」
「眞玖!」
私の呼びかけに低い男性の声が重なった。
目の前に匡が立っていた。
走って来たのか、いつも綺麗にセットされている髪も息も、乱れている。
ずっと考えて想っていた、大好きな人の姿を呆然と見つめる。
喉がカラカラに乾いて、うまく声が出せない。
「なん、で……ここ……」
「宰が眞玖の居場所を教えてくれた。酷い言い方をして悪かった。頼むからもう一度俺と話をしてくれないか?」
早口で言い募る姿には普段の冷静さが見当たらない。
いつも自信に満ち溢れた面差しはどこか暗く悲し気だった。