恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「学生のときからって……嘘……」


思わず漏れた声に、匡が首を横に振る。


「本当。俺はずっと眞玖に片想いをしていた。ライバルでもなんでもいいからただ傍にいたかったんだ」


真摯な口調は冗談を言っているようには見えない。


ずっと、私だけが片想いしていると思っていた。


「だったらなおさら、なんでアメリカにいる間に連絡をくれなかったの? 五十嵐さんとは一緒にいたんでしょう?」


初めて知った事実に動揺を隠せない。

でもそれならばなぜ、という思いがこみ上げる。


「五十嵐家は俺、というか藤宮家と縁を結びたがっていたんだ。そのために娘を近づけているのもわかっていたから誘いに乗るように見せかけて、手の内を把握してきっちり断った」


それでもあの親子はあきらめが悪いうえに兄貴まででてくるなんて予想外だった、と彼は苦虫を嚙み潰したような表情を見せた。


「気は進まなかったが秘書として接して、動向を探ろうと思っていた」


「……全然知らなかった。そのあたりの事情も話してほしかった」


傍に置くことで牽制と監視を兼ね備えるなんて、少々物騒な気はするが、なんにせよ状況の説明を最初からしてほしかった。


「悪かった、本当に。五十嵐は俺にとってただの秘書で、それ以上でも以下でもないんだ。ただ五十嵐は自分が秘書になったことで期待を持ったんだろう。だが俺が一向に靡かないので、眞玖に揺さぶりをかけたんだ。そんな真似を俺が許すわけがないのに」
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