恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
心の奥底に恋心を必死に押し込め、笑顔を貼りつける。

このまま友人として見送れば、きっと彼が帰国したときにまた会える、そう自分に言い聞かせる私は本当にズルい。


「元気、でね」


声が震えそうになるのを必死に誤魔化す。


「……俺に伝えたい言葉はそれだけ?」


長い足が近づいて、距離がどんどん縮まる。


「俺は完全に帰国するまで眞玖に会わない」


突然の厳しい宣告に頭が真っ白になる。

キリキリと心が痛いくらいに締めつけられ、指先がどんどん冷たくなっていく。


「――だから、それまでに覚悟しておけよ」


初めて向けられた、誘惑するような眼差しに目を見開く。

長い指がスルリと私の髪を絡めとる。

先刻の拒絶と相反する態度に理解が追いつかない。


「もう決めた。これから先は逃がすつもりはない」


そう宣言して、ゆっくり唇を重ね、何事もなかったかのように踵を返す。


「――またな」


別れの言葉はキスの余韻で呆然とする私の心に、残酷に響いた。
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