恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「眞玖」


ふわりと相好を崩し、片手を上げる。

その瞬間、大勢の人の目が一斉に私に向けられた。


「恋人?」


「いいわね、あんなイケメンの彼氏!」


「羨ましい」


ざわつく女性たちの声が耳に届く。

周囲を気にせず長い足で近づいてくる彼に、心がひどくかき乱される。


「休日に悪い」


「ううん、見送るって約束したでしょ?」


「ありがとう」


フッと眉尻を少し下げた、優しい表情が胸を打つ。


「会社の人やほかの人は来ないの?」


旅立ちを見送る女性は私以外にいないのか気になり、遠回しに尋ねる。


「いない。見送ってほしいのは、眞玖だけだから」


向けられる強い視線に息を吞む。


「仕事が好きなのはわかるが、無理するなよ。眞玖が開発した商品を見るのを、楽しみにしてる」


私は今、なにを言えばいい?


熱に浮かされたかのように、こみ上げる気持ちを声に出せない。

今から出国するこの人に、私の身勝手な恋心なんて押しつけられない。

そんな真似をしたら、優しい彼はきっと困る。

藤宮くんにはなんの憂いもなく、海外で思い切り活躍してほしい。
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