恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「そのドレスを贈りたかったから」


曖昧な返答をどう解釈すればいいのか、迷う。


「俺が選んだって宰に聞かなかったか?」


驚いて目を見張る。


「なんで……」


「これまでの誕生日を渡米中、祝えなかったから。悪かった」


つらそうに眉尻を下げる姿に、胸が苦しくなる。


「祝えなかった時間分をまとめたプレゼントだと思って受け取って」


「でも」


迎えに来てくれた際の専務の驚きが、今になってやっと理解できた。

どんなドレスが私に贈られたのか知らなかったのだろう。


「これは俺のワガママと願いだから」


「え?」


「そのドレスを纏った眞玖と同じ色を身に着けて、パーティーに出席したかったんだ」


思わず彼の装いを確認する。

ドレススーツの胸元を飾るのは、私と同じ素材と色のハンカチーフだった。


「どうして……?」


「なぜだと思う?」


質問に質問で返した藤宮くんが、私の背後の扉に大きな手のひらを置く。

懐かしい彼の香りが鼻をくすぐる。

緩く巻いた髪を空いているほうの手が軽く弄ぶ。

近すぎる距離に心が落ち着かず、呼吸が乱れる。


「あの日、空港で言っただろ?」


眼前に迫る、整いすぎた面差しから目を離せない。


『――だから、眞玖はその日までに覚悟しておけよ』


『もう決めた。これから先は逃がすつもりはない』


何度も反芻した台詞を改めて思い浮かべる。
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