恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「でも四年近く離れて、絶縁状態だったのよ」


『お互い様でしょ』


真っ当な指摘に返答に窮する。


『でもその後パーティー会場で、眞玖の気持ちを汲んで婚約を公式発表せずにいてくれたんでしょ?』


「うん……」


彼は発表したかったようだが、現状を受けとめきれず混乱している私の様子に思い止まってくれた。

しかし、会場に戻ってからは周囲の視線が怖くて仕方なかった。


『よかったじゃない。いきなりマスコミに囲まれたら戸惑うでしょ。諸々配慮してくれたんじゃないの?』


「それは……そうかもしれないけど、でも婚約者だなんて強引すぎる」


なぜ恋人ではなく、いきなり婚約者になるのか。


『婚約が嫌なの?』


「嫌っていうか……今日の藤宮くんは……知らない男性みたいだった」


あんなに強引で、自分のペースを貫き通すような人だった?


理解できない事柄が多すぎて、気持ちがついていかない。

つい最近まで彼をあきらめよう、不毛な片想いをやめよう、と考えていたのに。


『時間が経てば人は変わる。眞玖だって変わったでしょう。そもそも眞玖は藤宮さんの全部を知ってるの?』


親友の発言が棘のように胸に刺さる。

学生時代からの友人とはいえ、四六時中ともにいたわけじゃない。


もしや私は自分勝手に藤宮くんを理想化して恋をしていた?


まさか、そんなわけない。


即座に否定するが、いまだ混乱する想いに戸惑う。

こんな気持ちで婚約者になんて絶対になれない。
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