恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
帰国連絡がないまま、金曜日を迎えた。

色々迷ったが、いくら業務上避けられないとはいえ、黙ったままなのは気が引ける。

そのため仕事関係で婚活パーティーのモニターに参加する旨を連絡したが、彼から反応はいまだない。

胸元に切り替えのある紺色のワンピースの上にジャケットという今日のコーディネートは蘭に指定されたものだ。


「お疲れ様、眞玖」


「蘭もお疲れ様」


定時退勤をして向かったロッカールームで、親友が笑顔で迎えてくれる。

薄いグレーの光沢がある上品なスーツがとてもよく似合っている。


「やっぱりその服装素敵ね。あとはしっかり化粧直しをして……時間がないから急いで」


すでに化粧直しを始めていた蘭が急き立てる。


「リップグロスだけじゃダメ?」


尋ねる私の化粧ポーチを覗き込んだ親友がきっぱり告げる。


「まったくもう、眞玖には任せられないから私がする」


綺麗に化粧を直され、完璧な仕上がりに目を見張る。


「眞玖の肌は相変わらずきめ細かいし、まつ毛も長くて本当羨ましい」


「蘭のほうが肌艶がいいでしょ」


「私は化粧でよく見せてるだけ。眞玖は元々でしょ」
 

呆れたように肩を竦める親友に礼を告げ、会社を後にする。

連れだって駅に向かい、ホームで電車を待つ。

婚活パーティーの開始時刻は七時半で、現在は六時半を少し過ぎたところだし、充分間に合うだろう。

ここから目的地のホテルまでは三十分もかからない。
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