恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
『わかった。匡が帰国するまで、長谷部は俺が守る』


『有難いが、絶対に手は出すなよ。惚れるなよ』


『……匡、感謝するのか牽制したいのかどっちだ?』


『両方だ』


迷わず言い切る俺に、宰は胡乱な視線を向ける。


『女遊びが激しいと見せかけて、こんな独占欲と嫉妬心の強い男に一方的に惚れられた長谷部は気の毒だな』


『宰も本気で好きな女ができたら、俺の気持ちがわかる』


『楽しみにしているよ』


軽く肩を竦めた親友の姿を今もよく覚えている。

眞玖と宰が学生時代からの友人だというのは、峰岡飲料では有名な話だ。

ふたりの親しげな様子に、いつしか付き合っているのではと噂されるようになった。

やり手の宰はこれ幸いと噂を逆手にとり、自身の縁談除けにしている。

真相を知った眞玖が憤慨していたのは記憶に新しい。

とはいえ、眞玖に変な男が近づかないよう、俺に代わり牽制してくれていた親友には感謝の気持ちでいっぱいだ。

下手をすれば自身の周囲や取引先にまで影響が及ぶ可能性をもろともせず、背中を押してくれていたのだから。

出立の日、眞玖に空港へ来てもらったのは俺の我儘だ。

彼女の温もりを帰国するまで忘れないよう、少しでも早く戻れるよう心に刻む。
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