恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「――それを世間一般では惚気って言うの。心配して損した」


週明けの月曜日、出社早々私の席までやってきた親友に週末の一件を簡潔に説明したところ、胡乱な目を向けられる。

蘭には昨夜自宅に戻った後、金曜日の謝罪と匡との婚約を受け入れる旨の報告をした。

電話ではなくメッセージにしたのが気に入らなかったらしい。

匡の自宅で目が覚めてすぐに帰ろうとしたが引き留められ、さらには執拗に抱きこまれた。

大好きな人に抱かれる喜びを知った体は素直に反応してしまい、結局帰宅したのは日曜日の夜遅い時間だった。

しかも匡には婚約者なのだから早々に引っ越してこいと言われ、戸惑いを隠せない。

その場の勢い任せで口にするような人ではないと知っているだけに、どう返答すればいいかわからなかった。

彼の帰国からのあまりに早い展開に、まだ心が追いついていない。

ともに過ごす時間が長くなるのは嬉しいが、自分の恋情が重荷にならないかと不安が付きまとう。

即答しない私に焦れたのか、匡は同居は絶対に譲らないと告げて私を解放した。


「まあ、大方私の予想通りの展開だったけれどね。ふたりとも想いあってるくせに肝心な言葉が足りなさすぎ」


「そんなこと……」


「友だち付き合いが長いし、踏み出しにくいのかもしれないけど、伝えるべき言葉はきちんと口にしなきゃダメよ。恋人と友だちは距離感が違うんだから」


蘭が厳しく言い放つ。
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