恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「でもどこまで言うべきか迷うの。匡は多忙だし、些細な出来事をいちいち伝えるなんて重いでしょ。それに同居話だってあまりに突然すぎて」


「やっと藤宮副社長を名前で呼べるようになったの? よかった、よかった」


鋭い指摘に目を泳がせつつ、うなずく。


「自分の恋人に関する出来事を知りたいと思うのは普通の感情よ。眞玖だって隠さずに話してほしいでしょ? 離れている時間が長いうえ、ふたりとも多忙だし同居したいと願うのは自然でしょ」


「でも……」


「正式ではなくても婚約者なんだし、問題ないでしょ」


にっこりと口元を緩めて親友は晴れやかに言い切るが、迷いを断ち切れない。

片想いの頃はただただ気持ちが通じるように願っていた。

けれど想いが通じた途端、新たな問題が浮上した。

今までひとりで抱えていた気持ちを伝え、共有する方法がうまく掴めない。

彼の事情や感情にどこまで踏み込んでいいのかわからない。

自分がずっと望んでいたのに、友人から婚約者へとうまく態度を切り替えられない。

なによりこんな風にまごついて戸惑っているカッコ悪い自分を知られたくない。

両想いになって幸せなのに、なにか間違えて嫌われたらと考えると怖くて仕方ない。
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