恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
『お話しておきたい件があるんです。妹からあなたについて伺っていると申し上げましたよね? 妹は藤宮副社長の婚約者候補なんですよ』


耳にしたばかりの情報が頭の中を再び駆け巡る。

ドクドクと鼓動が大きく響く。

匡に確認しなければと思うのに、体をうまく動かせない。


事実だと言われたらどうしよう?


胸の奥からせりあがる不安に吐き気がする。


落ち着きなさい。


必死に自分に言い聞かせ、社内に設置されている自動販売機へと向かう。

営業課のすぐ近くにあるこのスペースは、社員の息抜きの場になっている。

紅茶を購入し、近くにあったベンチに座る。

そこへ商談を終えたらしい辻くんがやってきた。


「長谷部さん、先ほどは助かりました。ありがとうございました」


「ううん、大変だったね。うまくいった?」


「はい、五十嵐さんが長谷部さんをとても褒めておられました。しかも恋人に立候補したいから紹介してほしいと頼まれまして……」


そう言って、眉根を寄せた後輩に五十嵐さんの名刺をもう一枚渡された。

裏面を見るよう促され確認したところ、プライベート用の携帯番号やメッセージのIDなどの記載があった。

さっきの発言は本気だったのか。

頭の痛い事態に眉根を寄せ、後輩に視線を向ける。
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