恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
長い足で匡がゆっくり近づいてくる。


「お疲れ様、元気にしていた?」


そう言って、ずっと会いたかった人は私の顔を少し屈んで覗き込む。

整った面差しには疲労の色が滲んでいる。

お互いに忙しく、すれ違っている日が続いていたが、メッセージのやり取りはしていた。

匡の多忙を責める気は当然なかったし、立場も理解しているつもりだった。

それでもやはり寂しさは募り、メッセージは嬉しいけれど声を聞きたいと願う日々が続いていた。

以前のように海外赴任中でもないし、婚約者にもなれた。

十分すぎるくらいに幸せなのに『会いたい』『声が聞きたい』と欲張りになっていく自分が怖かった。

彼の足を引っ張る婚約者になりたくない。

匡は相手の都合を考えない、煩わしい女性は嫌いだと、学生時代に話していたのを聞いた記憶がある。

多忙時に会いに行けば拒絶され、自ら出向いたりもしないとよく噂されていた。


「眞玖?」


再び名前を呼ばれ、ハッとする。
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